カメラを買ったり、写真を撮ったりすると、「画質」というワードをよく耳にすると思います。
他にも「この写真 高画質ですね」なんて使い方もしますよね。
では画質とは何の事なのでしょうか。
先に答えを言うと、画質とは解像感の事であり、隅々までクッキリとクリアに描写しているか という事です。
この解像感には、多くのスペックや設定が関わっており、画質とは一言で説明するにはかなり難しい分野でもあります。
そんな多くの項目について解説していきたいと思います。

解像感と解像度は違うので、この辺についても触れていきます。
画質に関わる様々なスペック
画質とはカメラに搭載されるイメージセンサーの性能にほぼ依存しています。
イメージセンサーとはデジタルカメラには必ず搭載されている部品で、カメラの目に当たる部分です。
デジタルカメラが発足した時期から現代になっても、まだまだ発展途上の部品であり、イメージセンサーの性能が上がることで、画質もどんどん向上しています。

家電と同じで、買うタイミングが難しいヤツ

最もメジャー!画素数
カメラにおいて最も認知度の高いスペックが画素数で、解像度とも呼ばれます。
画像とはいわゆる「点(ドット)」の集合体で、このドットの数が画素数に当たります。
注意してほしい点として、画素数が多ければ多いほど、きめの細かい写真が撮れますが、「高画素(高解像度)=高画質」ではありません。
それは、紹介しているように、画質には他にも様々な設定が関わってくるからです。
高画素のカメラが最も画質が高いワケではありません。

ノイズの有無
カメラにはISO感度という設定があり、これは光を電気の力で明るくする機能です。
ISO感度を上げると写真が明るくなりますが、同時に電気ノイズまで増幅してしまい、写真はザラザラとした質感になり画質が劣化します。
イメージセンサーの性能上昇に伴なって、ノイズの量も改善されてきていますが、最も低いISO感度が最も高画質という事に変わりはありません。

ダイナミックレンジが広いと明暗差に強い
ダイナミックレンジとは、カメラが一度のシャッターで写す事ができる明るさの幅の事です。
ダイナミックレンジが広いと、明るいところから暗いところまで正確に描写してくれます。
逆にダイナミックレンジが浅いと、シルエットのように写ります。
主に編集作業で、ハイライトを下げたり、シャドウを上げたりする時に差が出てきます。

彩度、コントラスト、シャープネスで写真の仕上げ
ダイナミックレンジは明暗の認識能力でしたが、これに対して彩度やコントラストはイメージセンサーの色の認識能力となります。
数値化できないので、レビューサイト等で触れられる事があまりありませんが、写真においては最も重要と呼ぶべきポイントだと僕は思っています。
また画素数やダイナミックレンジはイメージセンサーの性能によるものですが、色の認識能力については、レンズの性能も関わってきます。
風景写真でレンズを絞る理由も、画質を上げるためです。この記事で少し解説しています。

ファイルサイズを左右する圧縮
現在のカメラは高画素化している事もあり、ファイル容量も大きいです。
そこで、自分の必要なファイルサイズに圧縮する事も多くあります。
また、RAW現像ソフトで編集した後に、自分の必要なサイズに設定して書き出す人も多いでしょう。
リサイズしたJpegも書き出したJpegも、全て圧縮された画像ファイルです。
このような圧縮によって起こるのがモスキートノイズやブロックノイズです。
圧縮した際にコントラストの大きな場所に起こる画質の乱れで、虫が群がっているように見えるノイズです。

ノイズが目立つ場合は警告が出るソフトも多いので、あまり気にする必要はないかも。
画質が悪く見えるのはモニターが原因かも

写真はPCに保存して観覧する人が大半です。
プリントをする人も一度はPCに保存して、写真をチェックします。
そんな時に、「なんだか色が変」「プリントすると色が違う」という事も珍しくありません。
それはモニターの性能も重要だからです。
モニターの難しさは、自分一人の問題ではない という事です。
例えば、撮った写真をSNSに上げる、両親に子供の写真を送る等。
そんな時に、相手のモニター(ディスプレイ)の性能が悪いと、「自分の伝えたい事が相手には伝わらない」という現象が起こります。

高画質な写真をスマートフォンで見るなら、まさに豚に真珠。
筆者はこのモニターを使ってます。

実は画素数はインフレ状態
上で紹介した画素数ですが、既にかなりインフレ状態です。
4Kモニターは3,840×2,160の約829万画素であり、最近のデジタルカメラなら2000万画素くらいは当たり前です。
つまりいくら画素数の良いカメラで撮影しても、それをフルに表現できるモニターはそうありません。
写真用ならIPS方式のモニターを
液晶モニターには以下の3種類があります。
- TN方式
- VA方式
- IPS方式
それぞれ色々なメリットやデメリットがあるのですが、この中で最も写真に向いているモニターはIPS方式のモニターで、色表現に優れているモニターです。
例外もあると思いますが、基本的に3種類の中でIPS方式が一番高価です。
色域が広い方が、キチンと確認できる
色域とは「どこまでの色が表示できるのか」という事です。
写真においてはsRGBやAdobe RGBが一般的で、カメラの設定から変更する事が可能です。
この2つを比較すると、色域が広いのはAdobeRGB。
ですが最近のカメラならどちらも選択が可能なので、高画質な写真を撮る上ではあまり問題にはなりません。
しかし問題は画像を表示するモニターです。
多くのモニターの色域はsRGBで、Adobe RGB対応のモニターはクリエイター向けが多くやや値が張ります。
時間経過によってモニターの色は変わる
良いモニターを買えば、今後何の問題もなく過ごせるのかと言えば、そうではありません。
それは、モニターは時間の経過によって色が変わるからです。
例えばPC側が赤の信号を送っていても、少しだけ明るい赤になったり、逆に少し暗い赤になったりします。
解決方法としては、モニターのキャリブレーション(校正)を行います。

画質とはこれらのスペックのトータル

画質とは、ここまで紹介してきたスペックの総合的な品質です。
数値化されていない項目も多く、これらを全て合わせて比較する事はできません。
また、人によって「シャープネスは画質とは違うだろ」「ボケは画質で重要だろ」など、人によって意見が別れることもあり、ぶっちゃけかなりフワッとしています。
もちろん高画質という基準もなく、撮影者、観覧者の主観に過ぎません。

写真をたくさん撮っていると目も肥えてくるしね。
動画ではもっと複雑に
ここまで紹介してきた画質については、あくまで写真についてです。
動画においては、フレームレート(秒間のコマ数)や音声の品質なども含まれてきます。
フレームレートが追加される事により、ISO感度での明るさのコントロールが非常に重要になり、ノイズへの注意も更に必要です。
高画質な写真を撮るには

気づいている人も多いと思いますが、画質において重要なのは、「良いカメラと良いレンズ。それと良いモニター」です。
つまりお金を出して手に入れるのが画質です。
そして「高画質なカメラを教えて」と言われても、画質とは写真を見た個人の主観に過ぎないので、自分の満足する画質と、答える側が教えるカメラの画質が一致しているとも限りません。

相談されても「あなたが満足するカメラを買って」と言うしかない。
変わって、撮影時や撮影後にできる事といえば、紹介した通りですが、以下のような事くらいしかありません。
- 低いISO感度で撮る
- 彩度、コントラスト、シャープネスを上げる
ちなみに、編集(RAW現像)をすれば彩度やコントラストを変更したり、ノイズを減らす事も可能です。
RAW現像はカメラより細かな調整が可能なので、多くのカメラマンがRAW現像を行います。
RAW現像について詳しくはコチラ
