至る所で、風景写真の加工しすぎ問題が挙がっている事をご存知の方も多いでしょう。
そんな中で、「自分はやりすぎないように」という思いで、このページを訪れたあなたに、まず敬意を送らせてください。
このホームページでも、風景写真の加工問題についての記事があるのですが、この記事はカメラを触らない人に向けた記事でした。
カメラが趣味の人にとっては、「具体的に何をどれくらいがやりすぎなの?」というのが最も気になるポイントですよね。
もちろん、明確な基準は無いのですが、僕の思うやりすぎの境界線について紹介したいと思います。
やりすぎ加工の写真は何故生まれる?
「やりすぎ」というキーワードが出るという事は、逆の「やりすぎていない」写真も存在します。
これは写真編集における以下の2つの考え方にあてはめる事ができます。
- 自分の記憶のままに写す「記憶色」→やりすぎていない
- 自分の希望を写す「希望色」→やりすぎ
何も考えずに海に行ってシャッターを押し、記憶色はそのままに編集、希望色は編集で盛りました。
写真を見比べると、差は一目瞭然。
この写真が駄目な理由を考えると、以下のような点が挙がります。
- 知識を使っていない
- 努力をしていない
- テクニックが入っていない
希望色の写真が良くない理由を考えると、現実的であるか以前にデジタルの技術に頼りすぎているという点に問題があるように思います。
この程度の編集技術に知識とか努力とか個性とか言ってたら笑われるぞ。
希望色の写真は嫌われる
加工しすぎた写真の多くは主に以下の3つの特徴があり、人の目を引きやすいです。
- 明るい
- 鮮やか
- メリハリがある
道路標識が目立つのと一緒。
写真愛好家から嫌われる
写真を撮らない人は、「目を引く=良い写真」だと勘違いをしてしまいます。
撮影で苦労する事なく、デジタルの加工技術によって結果的にSNS等で「いいね」がたくさん付いていく希望色の写真は、愛好家からすると、当然面白くありません。
記事で解説したように、加工した写真というのは写真を撮る人が見ればすぐに分かります。
もちろん「元の写真が良くなかったため、素人騙しで編集で盛っている」という所までバレています。
シンプルに言うと姑息。
一般人からも嫌われる
写真を撮らない人は、そんな希望色の写真を見て真実だと思ってしまいます。
ネットやSNSで情報収集が一般的になっている現代において、写真を見て現地に行った人が「騙された」と思うような事があってはいけません。
- 「騙すつもりはなかった」
- 「騙される方が悪い」
- 「周りもみんなやってる」
このような事を言う(考えている)人は嫌われて当然です。
シンプルに言うと詐欺師。
ここを触る時は要注意
僕の思う希望色になりやすいパラメーターとは以下の4つです。
- シャドウを上げる
- 彩度を上げる
- 明瞭度を上げる
- かすみ除去をかける
この4つを選んだ理由は単純なもので、アナログ時代は難しかったから。かつ効果もバツグン!
しかしフィルムの時代もフィルムの種類を変えたり、レンズにフィルターを取り付ける事によって、写真の加工は行われていました。
過剰の目安は画質の乱れ
「どこをどこまで触ればやりすぎなの?」と聞かれると難しい所があります。
それはパラメーターの組み合わせや、撮影時の露出やISO感度によっても状況が変わってくるからです。
しかし総じて言える事は、過剰に触るとノイズが発生して画質が落ちます。
やりすぎ加工の写真を用意し、そこから画質が乱れている分かりやすい部分をピックアップしました。この画像から問題のある部分を解説します。
まず見て一番に分かるポイントはノイズの多さ。RAWデータはISO200で撮影していますが、露出とシャドウをプラス補正にした事によってかなりのノイズが出ています。
続いて分かる場所が、山と山の境目が霧のように白く浮いており、この部分をハロ(Halo)と呼びます。撮影時は夕方で条件的にも霧が出るようなタイミングではありません。つまり存在しない色が出ています。
存在しない色といえば、防波堤には紫色の部分がありますが、もちろん防波堤にこのような色は存在しません。
加工をすると本来見えない色が見えるので、一見綺麗に見える事がありますが、そこを突き詰めると存在しない色である可能性があります。
ネットやSNSの「この画像ヤッてんなぁ」という目安にもどうぞ。
写真はカメラの仕組み上、目には見えていない物が見えてしまう事は多々あります。
しかし、写真としてネットに出す以上は、人を騙すような事があってはいけないのではないでしょうか。
写真は嘘をつかないから意味がある。
映画はフィクション、イラストは作者のイメージがありますが、写真は何があろうと現実の世界なのです。