インスタグラムなどで簡単に人の作品を目にできるようになってきた昨今。
「これどう見ても加工だよね」という写真も多く見かけます。
確かに綺麗な写真はたくさんありますけど、加工だと思うと魅力も半減してしまいますよね。
この記事ではそんな写真の加工について解説していきたいと思います。

カメラを趣味にしていない人向けの記事となっています。
写真をする人向けはこちら

無加工のRAWデータって知ってる?

加工していない画像の事を知っていますか?
無加工の画像の事を「RAW(ロー)データ」と言います。

正確にはRAWデータは画像ですらないのですが…
RAWデータは一眼カメラで写真を撮る人にとってはお馴染みなのですが、RAWデータは一般的にはあまり浸透していません。
その理由には以下の事があります。
- データ量(ファイル容量)が大きい
- RAWデータを見るには専用のソフトが必要
- カメラの機種ごとにデータが異なる
そこでRAWデータは軽量で扱いやすいJpegと呼ばれる画像データに変換されます。
カメラマンにとっては馴染み深いRAWデータ
一般には浸透していないRAWデータですが、一眼カメラを使うプロカメラマンやアマチュアカメラマンにとってはRAWデータは馴染み深い物です。
上で簡単に書きましたが、RAWデータはファイルサイズが大きいぶん、色のデータが最も多く、編集の際に正確な色を引き出す事ができます。
RAWデータは後で編集するためのデータでもあり、RAWデータを編集した方がJpegの画像を編集するより画質の劣化が起こりません。

Jpegは全て加工された写真
皆さんがスマートフォンで撮った写真や、SNSなどで見る写真はほぼ100%Jpegです。
スマートフォンなどのカメラで撮影をすると下記の流れで写真を画像として保存します。
- シャッターを押す
- RAWデータを作成
- Jpegに変換
- 保存(RAWデータは破棄)
上の流れのように、RAWデータから編集操作をする事なくJpeg出力された写真をJpeg撮って出しと呼びます。
そしてRAWデータからJpegに変換する時に既に写真は「加工」されています。
編集操作をしていないので、無加工のように思えますが、カメラメーカー(スマートフォン含む)側が設定した形で加工されてJpeg出力されています。
自分で加工した覚えは無くても、無加工であるRAWデータがJpegに変換された時点で加工された画像です。

Jpeg撮って出しが見たままの風景である事もまずありません。
スマートフォンの方が加工しすぎな一面も
よく「一眼カメラで撮った写真が加工されている」と思っている人もいますが、加工の度合いとしてはスマートフォンの方が過剰なケースがよくあります。
一眼カメラというのは編集(RAW現像)が前程であるため、Jpeg撮って出しに力を入れていません。
RAW現像をしないスマートフォンの方が、Jpeg撮って出しに力をいれており、素人目に綺麗に見えるようにゴリゴリに加工をしてJpeg出力を事があります。
写真は常に綺麗に撮るという目標を掲げている
カメラの歴史は長く、いつの時代も綺麗に残すという事を主体に技術は発展し、それは今も尚、発展の途中です。
写真という字は『真実を写す』と書きますが、現在の技術を持ってしても真実をそのままに写す事はできないのです。
それは光がレンズを通過するという仕組み上、いくつかの光がきちんと通過しなかったり、光を受けるイメージセンサーが正しく色を表現できなかったりするからです。

写真編集というのは、イメージセンサーに残っている小さな色のデータを引き出し、当時のままに表現するという作業でもあります。
しかし、編集作業も自分の記憶の中での編集となるので、完全には表現できませんし、いわゆる思い出補正というのが悪い方に働いてしまう事もあります。

同じ風景を見て「綺麗だな」と思った人と、「そうでもないな」と思った人の写真の仕上がりも変わってくるでしょう。
昔からある写真の加工技術
加工というと現在の技術のようですが、写真は昔から様々な手法で手が加えれれてきました。
そんな例をいくつか紹介しましょう。
- 露出補正(明るさの変更)
- トリミング(切り取り)
- コントラスト(メリハリ)
これらの加工については、下の記事でもう少し詳しく紹介しています。

過去に戻る事は加工に含まれるか

現在はカラー写真が一般的ですが、昔はモノクロ写真が主流だった事を知っている人も多いと思います。
今、モノクロ写真を撮ろうと思うと、JpegやRAWデータからモノクロに変換する必要があります。
また現在のレンズは過去のレンズより描写が良くなっている分、ハイコントラストでメリハリがあります。
編集技術を使って、モノクロに戻したり、昔のレンズのようにコントラストを落としたりする事は加工に含まれるでしょうか。

ここは結構、意見が分かれそう
「写真は加工が当たり前」という視点も必要

カメラは人の目以下であり、人の目以上でもある
写真は真実を写せないと紹介してきましたが、これを逆手にとって人の目には見えない写真を撮る事も可能です。
カメラにはシャッタースピード(露光時間)という設定があり、一定の時間、光を蓄える事ができます。
この機能を使って撮る写真として有名なのが星空の写真で、肉眼では見えない星の光まで捉える事ができます。


ストロボは人工的な瞬間光
また、カメラの周辺機器としてストロボを知っている人は多いでしょう。
スマートフォンにも搭載される、いわゆるフラッシュという道具で、カメラは人の目では捉えられないストロボの一瞬の光を写真にします。
ストロボは良い写真を撮るために設置する人工的な光ですが、これは加工に含まれるのでしょうか?

七五三の写真を見せられて、「これ加工じゃん」って言えるヤツおる?
嘘まみれの広告写真
こういう言い方は良くないかもしれませんが、写真は嘘をつくのが当たり前という一面もあります。
代表的なものが化粧品の広告写真。
モデルの肌は赤ちゃんのように綺麗で、毛穴なんて一つも見えません。
それは写真が加工されているからです。
そんな広告写真に「嘘の写真だ!」という人はいませんし、むしろ加工され写真を見て、商品を購入する人もたくさんいます。

何故か風景写真の加工の方が否定されがちです。
加工のラインなんて決められない
時々他人の作品を見て「加工しすぎ」と文句を言う人もいます。
「じゃあどこまでが加工なの?」と聞くと、人によって返ってくる答えはバラバラでしょう。
紹介してきたように、写真はあらゆる手段で加工されており、明確なラインはありません。
数値化できる要素でもないので、「自分が加工しすぎだと思ったから」という主観にしかすぎません。

結局は自分の好みじゃないだけなんだよね。
僕の思う加工のラインを紹介
