絞りはレンズの絞り羽根を動かして、光の量をコントロールする仕組みです。
光の量というと一般的にはルーメンやルクスが一般的ですが、写真ではF値(又は絞り値)という独自の計算方法を用います。
シャッタースピード | ISO感度 | |
---|---|---|
絞りを開く | 短く | 下げる |
絞りを閉じる | 長く | 上がる |
1段とは光の量を倍、又は1/2にする事ですが、F値が一段動くと下の表のようになります。
←明るい | F2.8 | F4.0 | F5.6 | F8.0 | F11 | F16 | 暗い→ |
F値を指定するAモード
F値をコントロールするにはカメラをA(Av)モードにします。
日本では絞り優先モードや絞り優先オートと呼ぶ事が多いです。
Aモードでは絞りを自分自身で決め、残りのシャッタースピードとISO感度はカメラが自動で算出して明るさを設定します。
絞りを指定する目的は色々とあるので、これについて以下から解説していきます。

Aモードにしたら、レンズを見ながら絞りを変更してみましょう。実際にどのように絞り羽根が動くか見る事ができます。
絞りが変える露出以外の事
開く | 中間(F8) | 閉じる | |
---|---|---|---|
描写 | ボケる | ボケにくい | 光芒が出る |
画質 | 悪い(収差) | 良い | 悪い(小絞りボケ) |
主にピントに影響


F値の変化として最も有名な変化はピントです。
ピントについては別の記事があるので、ここでは簡単に解説しますが、F値が低いとボケやすく、F値が高くなってくると次第にボケなくなってきます。
ボケのある写真は被写体を際立たせ、主題をしっかりと写し、副題をボカすといった表現も可能です。
主題をはっきりとさせる、ポートレート(人物)、植物などは開放で撮影する事が多いです。
もっと絞ると光芒が出る
工場夜景などで照明が尖っている写真を見た事はありませんか?
これはレンズの絞り羽根同士の隙間から出る光を利用した描写です。
光芒の数は絞り羽根の枚数によって決まりますが、円形絞りなどのレンズにおいては、いくら絞っても光芒の出ないレンズもあります。
絞ると画質が改善される
レンズを開放付近で使うと、光の取り込む量が多く、ボケるとメリットも多いですが、逆に解像度は甘くなりがちです。
これはレンズの作りによるもので、絞りを開放で使うとレンズの隅々まで光が通ります。
レンズの隅々まで光が通ると一見良い事をしているようですが、レンズというのは外側まで行くと綺麗に光が透過しにくくなります。

開放で使うと上記のデメリットがあるので、全体をしっかりと描写したい物撮り(テーブルフォト)や風景においては、ある程度絞って使う事が多いです。
ある程度絞る事で、レンズが最もパフォーマンスを発揮できるレンズ中央からその周辺を光が通ります。
「開放の描写は悪いけど、どうせ絞るしね」という会話も珍しくありません。
絞りすぎると小絞りボケが発生する
絞るとレンズの中央付近を通るので、レンズのパフォーマンスを発揮できると少し紹介しましたが、絞りすぎは禁物です。
光の入口が小さくなると、光が正しく直進せず、こちらでも解像感が落ちます。
F値は主に開放の値が重要
レンズを選ぶ上で重要視されるのは主に開放のF値です。
何故開放F値が重要かと言うと、光を取り込む量が多いと、レンズの使い所が増え、ボケる事から表現の幅も広がるからです。
F値が低いレンズの目安
では具体的にどれくらいの開放F値が目安となるのでしょうか?
きちんとした区切りはありませんが、交換レンズの多くがF2.8以下である事から、このF2.8が一つの目安と言えるでしょう。
レンズのF値の確認方法

「自分のレンズのF値っていくつなんだ?」
という場合はレンズを見てみましょう。
例外もありますが、ほとんどのレンズに開放F値が刻印されています。
注意してほしい点として、ズームレンズには以下の2種類があります。
- 広角から望遠にかけてF値が変わるレンズ
- 広角から望遠までF値が変わらないレンズ


F値が変わるレンズは広角端と望遠端のF値がそれぞれ書いてあります。

F値は撮影の時も大切ですが、レンズを選択、購入する際のポイントでもあるので、きちんと覚えて撮影に活かしましょう。

