カメラにF値が必要な理由。レンズのF値が変な増え方をする理由。

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F値とは端的にいうと、光が入る面積を指し、入門向けには「数字が低いと光線束が増えてボケ、数字が高いと光線束が減ってピントの範囲が広く見える」といったように教わります。

ではカメラでは何故F値という数字が必要なのでしょう?

面積ならばm2(平方メートル)ですし、光の量ならLu(ルーメン)やLux(ルクス)といった単位があります。

これに応えを言うなら、レンズには焦点距離があり、焦点距離が長くなると同時に光量が落ちます。つまり、光の入る面積が同じでも、焦点距離が変わると光量も変わってくるのです。

この問題点を解決する数値がF値です。

ちなみに数学の話です。

目次

F値って何の数字?

F値のFは焦点という意味の英語、Focalから来ています。英語圏でもFocal numberとは言わず、F numberと言います。

このF値とは焦点距離を有効口径で割った値です。

例えば焦点距離 50mm、有効口径50mmのレンズのF値は1となります。

それではF値を1段絞ると本当に光の量は半分になっているのでしょうか?

F値の増え方の法則

F値とは光が入る量をコントロールする数値ですが、ISO感度と同様に数値そのものに意味はありません。

ただ、ISO感度は100、200、400と分かりやすく1段増えますが、F値は増え方が1.4、2.0、2.8と増え方が厄介です。

この増え方の特徴として、基本的にF値は2の倍数の√(ルート)で増えていきます

F1.0√1
F1.4√2
F2.0√4
F2.8√8
F4.0√16
F5.6√32
F8.0√64
F11√128

さて、F値の正体はサクッと分かったわけですが、新しい問題が出てきたと思います。

有効口径ってなに…?

「F値=焦点距離÷有効口径」

ここから有効口径を逆算するには、焦点距離をF値で割れば有効口径が算出できます

有効口径の算出

有効口径とはレンズの光の入口(光線束)の直径です。F値が増えると、有効口径が小さくなる事からレンズで光量の調整ができます。

試しに有効口径を算出してみましょう。

  • 50mm F1.0の場合、有効口径は50.0mm
  • 50mm F1.4の場合、有効口径は35.7mm
  • 50mm F2.0の場合、有効口径は25.0mm

例えば、400mm F2.0のレンズを作ろうと思うと、有効口径は200mmである必要があります。

広角レンズにF値が低いレンズが多く、望遠レンズにF値が高いレンズが多いのはこういう事。

有効口径の面積

有効口径は光線束の直径なので、ここから面積を求めるには、直径を2で割り、2乗してπを掛けます。

小学校で習う「半径×半径×3.14」というアレです。

  • 有効口径50.0(F1.0)mmの場合、25.0×25.0×3.14=1963mm2
  • 有効口径35.7(F1.4)mmの場合、17.85×17.85×3.14=1001mm2
  • 有効内径25.0(F2.0)mmの場合、12.5×12.5×3.14=491mm2

この計算を見ると確かにF1.0、F1.4、F2.0で確かに光線束が半分になっているのが分かります。

若干の誤差があるのは、√(ルート)やπの無理数があるせいです。

焦点距離と有効口径の面積の例

最後に代表的なレンズと、その光線束の面積について、表にまとめてみました。

焦点距離F値有効口径面積
24mmF1.024mm452mm2
24mmF1.417.1mm231mm2
24mmF2.012mm113mm2
24mmF2.88.6mm57.7mm2
24mmのレンズにおける有効口径の面積
焦点距離F値有効口径面積
50mmF1.050mm1963mm2
50mmF1.435.7mm1001mm2
50mmF2.025mm491mm2
50mmF2.817.9mm250mm2
50mmのレンズにおける有効口径の面積
焦点距離F値有効口径面積
200mmF2.0100mm7854mm2
200mmF2.871.4mm4007mm2
200mmF4.050mm1963mm2
200mmF5.635.7mm1002mm2
200mmのレンズにおける有効口径の面積

見事なまでに半分になっててスゴい。

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