明るさの調整で写真が劇的に変わる!初心者向け露出ガイド

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先日、写真を撮りに出ていると、子供連れのお母さんに「すみません、子供ってどう撮れば良いですか?」と聞かれました。 人物は基本的に逆光で撮れば柔らかい雰囲気になるので、「ここに立ってこう撮れば良いですよ」とアドバイスしました。

すると今度は、「子供が逆光で暗く写ってしまいました」と困られてしまいました。

逆光で対応ができないのは、カメラの性能が悪いからではなく、露出の仕組みを知らないために起こる現象です。今回の例でいうと、カメラが背景の明るさを優先して露出を設定したため、主役である被写体を暗く写ってしいました。

このような状況に対処するために、露出補正や測光モードを適切に使う方法を以下で詳しく解説します。

シルエットは綺麗ですが、成長記録という意味ではあまり使えません
シルエットは綺麗ですが、成長記録という意味では使いにくいかも
目次

露出と自動露出

まず、「露出」という言葉を簡単に説明します。露出は、写真の明るさを決める大事な要素です。露出はフィルム時代以前から使われている概念で、現在のデジタルカメラやスマートフォンでも同じ言葉が使われています。

最近のカメラは自動で明るさを調整してくれる「自動露出」機能があります。シャッターを押すだけで明るさが調整されるので、とても便利です。この機能は、カメラに内蔵されたセンサーを使い、光量を測定して適切な露出を計算する仕組みです。しかし、カメラが選ぶ明るさがいつも「ベスト」とは限りません

特に明暗差が大きいシーンでは、被写体が暗く潰れたり、背景が白飛びしたりすることがあります。こうした場合は、撮影者が意図する明るさを手動で調整することが求められます。

写真には以下の3つの明るさがある事を覚えておきましょう。

  1. 自分が見ている景色
  2. カメラが計算で出した露出
  3. 自分が表現したい明るさ

撮るべき明るさはもちろん「自分が表現したい明るさ」です。この「自分が表現したい明るさ」とは、例えば夕日のシルエットを強調したい場合や、柔らかい光で人物を浮かび上がらせたい場合など、自分のイメージに応じて決まるものです。

自分が表現したい明るさで撮影するために、カメラの露出設定を変更し、撮影する事が大切です。

プラス補正でさわやかに
マイナス補正で重厚感を出す

カメラの自動露出はあくまで計算。カメラの計算と自分のイメージはイコールではない。

露出補正を使う

カメラが自動で決めた露出に対して、自分で「もう少し明るく」や「ちょっと暗く」と調整できる機能が露出補正です。

多くのカメラでは、モニターに「+/-」や「Ev」という表示があります。この調節機能を使えば、簡単に明るさを変えられます。

具体例と対応

  • ケース1:白い雪景色
    • 雪を撮ったら、暗く透明感が失われた。
    • 対応:露出補正をプラスにすることで、明るい雪の質感が再現されます。
  • ケース2:夜景撮影
    • 暗い街並みを撮ったら、明るすぎて雰囲気が違う。
    • 対応:露出補正をマイナスにすると、深みのある夜景が表現できます。

冒頭に紹介した、晴れた日に逆光で人物を撮ると暗く写ってしまうというケースも、失敗例としては代表的です。

対応として、子供の顔が綺麗に見えるまで露出をプラスに補正します。背景は少し白っぽくなりますが、写真全体のバランスはよくなります。

この小さな調整を加えるだけで、写真の仕上がりがグッと上がります。

「空プラス、森アンダー」この本で教えてもらいました。

測光モードを見直す

測光モードは、カメラが「どこを基準に明るさを測るか」を決める設定です。

例えば、広い風景を撮るときは写真全体を平均的に測光する「マルチ測光」が適しています。一方、ポートレートでは被写体の顔をしっかり明るく撮るために「中央重点測光」や「スポット測光」を選ぶと効果的です。

シーンに応じて測光モードを切り替えることで、自分が意図する露出が得られやすくなります。

測光モードの種類

  • マルチ測光
    • 写真全体をいくつかのエリアに分けて、それぞれの明るさを平均します。
    • 例:風景写真。空と地面のバランスを取るときに最適。
  • 中央重点測光
    • 写真の中央部分を基準に明るさを決めます。
    • 例:人物が中央にいるポートレート撮影におすすめ。
  • スポット測光
    • ピントを合わせた部分を基準にします。
    • 例:発表会の主役を撮影するとき、背景の暗さを無視して主役を明るく撮りたい場合。

応用編:AEロックを試す

AEロック(Auto Exposure Lock:AEL)は、測光後に露出を固定する機能です。通常、シャッターボタンを半押しするとカメラが測光を行い、構図を変えるとその都度露出も変わります。

そこで、AEロックを使うことで、測光時の明るさを固定したまま構図を自由に調整できるようになります。

活用例

  • 逆光でのポートレート撮影
    • 窓際で人物を撮影する場合、人物の顔に合わせて測光し、AEロックを使用すれば背景の明るさに影響されず、顔がしっかりと明るく写ります。
  • 風景写真での明るさ調整
    • 空が明るすぎる場合、地平線付近の明るさで測光してAEロックを使えば、全体的にバランスの取れた風景写真が撮れます。

AEロックの操作方法

  1. 測光する: 撮影したい被写体にピントを合わせると、カメラが明るさを測光します。
  2. AELボタンを押す: 測光した明るさを固定します。
  3. 構図を調整する: AEロック状態で構図を整えます。
  4. 撮影する: シャッターボタンを押して撮影します。

実際に使っている人は少ない?

AEロックは便利ですが、被写体や環境の変化に敏感に対応できない場合があります。

そのため、使用する場面を選ぶことが重要です。例えば、逆光のポートレート撮影ではAEロックを活用することで、被写体の顔を明るく写せますが、一方で動きの多いスポーツシーンでは適応が難しいこともあります。また、明るさが頻繁に変わる森の中の撮影などでは、AEロックを解除して露出を都度再計測する方が結果的に正確な露出が得られる場合があります。

露出を固定する方法はAEロックだけでなく、マニュアル露出や、シャッター半押しにAEロック機能を持たせる事も可能です。そのため、実際にAELボタンを使用して露出を固定している人は多くないように思います。

AELボタンを使用しない場合、代わりに『親指AF』と呼ばれる方法で活用する人もいます。

RAW現像ソフトでさらに完璧な仕上がりを目指そう

露出補正や測光モードを駆使して撮影時にベストな明るさを選び、撮影後の調整でさらなる完成度を追求できるのがRAW現像です。

RAW形式で撮影しておけば、写真の明るさやコントラスト、色味を撮影後に自由に調整できます。特に、露出が完全に決まらない難しいシーンや、撮影環境が刻々と変化する状況では、RAW現像が大きな力を発揮します。

おすすめのRAW現像ソフトには、Adobe LightroomLuminar Neoなどがあります。これらのソフトを使えば、プロのような仕上がりの写真を簡単に作ることができます。また、初心者でも使いやすいインターフェースが整っているため、直感的に調整を行えます。

撮影の楽しみをさらに広げるために、ぜひRAW現像ソフトを使ってみてください。まずは体験版や無料版から始めて、その可能性を体感してみましょう!

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