写真の基本中の基本である露出(明るさ)ですが、意外とココで躓く人が多いのかもしれません。
先日、写真を撮っていると「子供の写真ってどう撮ればいいですか?」と(おそらく初心者の方に)尋ねられました。
人物の基本は逆光なので「このポジションで、こう撮ればいいですよ」という話をしたのですが、今度は「すみません、今度は人物が逆光で真っ暗です」という質問が返って来てしまいました。
逆光で真っ暗になるのはカメラが悪いのですが、そこで写真の明るさを調整するは撮影者の操作するべきポイントです。
一眼カメラの明るさが難しく感じる理由
一眼カメラの写真が「なんだか暗いんですけど」となる理由は、おそらくスマートフォンのカメラ性能が優れているからです。
特にiPhoneはコンピュテーショナルフォトグラフィーという技術をいち早く導入しています。
このコンピュテーショナルフォトグラフィーとは AIによる写真技術であり、以下のような補正を自動で行ってくれます。
- 人物を判断して、明るく、肌を綺麗に
- 空を判断して、鮮やかに
残念ながら一眼カメラにはそのようなAI技術は備わっておらず、完全に負けているのが現状です。
我々は便利な物に慣れすぎてしまったんや。
一眼カメラは明るさを判断できない
冒頭の事例で紹介した「被写体が暗い」という現象が起こる原因は単純なもので、カメラには明るさが分かっていません。
ではカメラはどのように明るさを判断しているのでしょうか。その答えは色にあります。
ケータイのカメラでメモ紙を撮影した時に「あれ?白い紙なのにグレーに近いな」という経験がある人も多いのではないでしょうか。
これこそがカメラが明るさを判断できない証明です。
そこでカメラは明るさが判断できないため、写真全体を真っ白と真っ黒の中間であるグレー(正確には明るめのグレー)にバランスを取っています。
つまり、白い紙を撮影してグレーに写ったり、明るい背景に対して人物が暗く写ったりするのは、カメラの動作不良ではなく、むしろ正常な動きなのです。
このように、カメラが決めたグレーに位置する露出の事を標準露出と言います。
他にも色によってこんなケースもよくあります。
- 空(水色)を明るいと判断し、写真を暗くする
- 森(緑色)を暗いと判断し、写真を明るくする
カメラって本当にお馬鹿さん。
まずは初期設定に戻す
設定の見直しも含めて、カメラの明るさに関する設定を初期設定に戻しましょう。
- 撮影モード:プログラム(P)オート(初心者におすすめ)
- ISO感度:オート(初心者におすすめ)
- 露出補正:±0(カメラが決めた明るさ(グレー)の中央)
- 測光モード:マルチ(写真全体を見て明るさを判断)
露出補正で明るさを合わせる
カメラで写真の明るさを変更できる事を説明する必要は無いでしょう。
この写真の明るさを変える機能を露出補正と呼び、明るくする場合はプラス補正、暗くする場合はマイナス補正を行います。
これら全てが露出補正で解決できます。
- 黒く潰れた人物
- グレーに写るメモ
- 暗く写る空
- 明るく写る森
明るさが分からないなら、分からせてやるまでよォ!!
標準露出を気にしすぎない
「カメラが明るさを判断できない理由」で解説しましたが、標準露出はあくまでカメラが計算によって導き出した明るさです。
この標準露出は、初期設定として紹介した測光モードによっても大きく変わってきます。
標準露出よりもあまりにプラス補正をすると「もしかしてやりすぎ?」と思う事もあるかもしれませんが、そんな事はありません。
撮影者の思う露出こそが正しい明るさです。
標準露出を気にしすぎない。最重要は適正露出。
見たままに写す必要は無い
写真の明るさの延長として、「見たままに写す」の次のステップとして、「自分がイメージする明るさ」があります。
写真の明るさがコントロールできる機能を利用して、肉眼では見えていない明るさにコントロールするのです。
それでも無理ならカメラの限界かも
初期設定として紹介したプログラム(P)オートは、優秀が故に限界も分かりやすい設定です。
紹介した方法で撮りたい写真よりも写真が暗くなってしまったり、手ブレが起こったりする場合は、カメラの性能の限界かもしれません。
解決するには、以下のような対策が必要になります。
- 取り込む光が多いレンズ(大口径レンズ)を買う
- 手ブレしないように三脚を買う
- 光量を上げるためにストロボを買う
きちんと撮れないならサッと諦めて、昼間の良い条件下で楽しく撮影しましょう。
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