カメラのダイヤルに並ぶ「P・A・S・M」という文字。
全部使いこなそうとして説明書と格闘したり、「本格的に撮るならマニュアル(M)だ」という言葉に縛られて、設定に迷っている間にシャッターチャンスを逃してはいないでしょうか。
ファインダーを覗く前に、目の前からシャッターチャンスが去っていく。それが一番もったいないです。
そんなことに時間を使う必要はありません。もっとシンプルに考えて大丈夫です。
結論から言えば、覚えるべき撮影モードは「A(絞り優先)」と「S(シャッタースピード優先)」の二つだけです。
「今日はどの手を取ってほしいんだい?
僕がリードするのか、それとも君の気まぐれに身を任せるべきか……。
やれやれ、最初から結論は決まっているというのに」
なぜ「P」と「M」はメインにならないのか
ここで、「プログラムオート(P)」や「マニュアル(M)」についても触れておきます。
なぜこれらが“最初の一歩”としておすすめできないのか、理由があります。
プログラムオート(P):便利すぎて「原因」が見えなくなる
Pモードはいわば「AとSの中間」のようなモードです。
カメラがすべて決めてくれるので、大きな失敗は少ない。一見、万能に見えます。
しかし、すべてをカメラに委ねてしまうと、「なぜその写真が撮れたのか」という根拠が残りません。
この状態で撮る癖がつくと、失敗したときの原因が掴めず、次の成功につながりません。
Pモードは「とりあえず写す」には便利ですが、写真が上達するには少し優しすぎる環境です。
マニュアル(M):楽しさとリスクは隣り合わせ
マニュアルモードは、すべての設定を自分で決めるモードです。
カメラを操作している実感は確かに楽しく、趣味として突き詰めるなら素晴らしいモードです。
ですが、使いこなすには相応の勉強と慣れが必要になります。
設定に気を取られ、ダイヤルを回している間に、最高のシャッターチャンスは容赦なく過ぎ去ります。
Mモードは「表現を追い込むための道具」です。シャッターチャンスを失ってまで使うものではありません。
何を撮るかで、撮影モードは決まる
迷ったら、この質問だけ
今、撮ろうとしている被写体は、 止まっていますか? それとも動いていますか?
考えるのは、それだけで十分です。
- 止まっている → A(絞り優先)
- 動いている →S(シャッタースピード優先)
あとの面倒な計算は、すべてカメラに任せてしまいましょう。
絞り優先オート(A / Av):ボケるか、あまりボケないか
ここで言うのは、ボケの有無ではなく、どれくらいボケさせるか、つまりボケ量の話です。
風景やスナップ、ポートレートまで、撮影のほとんどはこのモードで完結します。
このモードで決めるのは、ボカしたいか、隅々までクッキリ見せたいか。ただそれだけです。
迷ったらこの数字
- ボカしたい時:F値を一番小さい数字(開放)
- ボカさない時:F8 前後
自分がやりたい「表現」だけを決めて、あとは機械に働いてもらう。
この割り切りが、撮影を一番軽快にしてくれます。
ボケの本質を深く知りたい人はこちら

シャッタースピード優先オート(S / Tv):写し止めるか、躍動感を出すか
シャッタースピードは、「ブレを防ぐ設定」ではなく、動きをどう見せるかを決めるためのものです。
止まっている被写体はAで十分ですが、相手が動くなら話は変わります。
元気に走り回る子ども、予測不能な動きをする動物、目の前を通り過ぎる車。
これらを撮るときに優先すべきなのは、ボケではなく、 ブレさせずに確実に写し止めることです。
迷ったらこの数字
- 歩いている人やペット:1/250秒 以上
- 走り回る子どもやスポーツ:1/500秒〜1/1000秒
ブレてしまった写真は、後からどう頑張っても直せません。
動くものを撮るなら、迷わずSに切り替えてください。
露出の不安は「ISOオート」に任せる
AモードでもSモードでも、共通して設定してほしいのが「ISO感度のオート(ISO AUTO)」です。
絞りを絞ったり、シャッタースピードを速くしたりすると、画面が暗くなることがあります。ですが、そこで怯えて設定を妥協する必要はありません。
今のカメラは優秀です。ISO感度をオートにしておけば、明るさはカメラがうまく調整してくれます。
多少ノイズが乗ったとしても、ミスカットになるよりは、はるかにマシです。
※ 可能であれば、ISOの上限(例:ISO6400など)だけは設定しておくと安心です。
「ボケの罠」に注意する
ここで、ついやってしまいがちなのが「ボケの罠」です。
「子どもをふんわり可愛く撮りたい」 その気持ちは自然です。そこでA(絞り優先)を選び、ボケを最大にする。
ですが、Aは「目の前の被写体がどれだけ激しく動くか」までは配慮してくれません。
ボケを優先した結果、Aが選んだ遅いシャッタースピードのせいで、 肝心の顔がブレてしまったら本末転倒です。
演出(ボケ)に夢中になって、 一番残したかったはずの“顔”を失ってはいけません。
撮影モードは、迷わないためにある
マニュアルでダイヤルを回して写真を撮る人だけが、写真が上手い人ではありません。
最適な撮影モードを選び、目の前の光景に合った設定を瞬時にできる人が、結果として良い写真を残します。
撮影モードは、難しいことをするためではなく、 余計なことを考えずに撮るためにあります。
今日カメラを持ち出すなら、ダイヤルはまず「A」に。
被写体が動いたら「S」に切り替える。
それだけで十分です。
設定で悩む時間も、失敗した一枚も、無駄ではありません。
「さぁ、手は掴んだよ。
あとはキミのステップに合わせて、僕がシャッターを切るだけだ」
ようやく、彼女との「付き合い方」がわかってきたね。
でも、気をつけて。お姫様の心は、光ひとつで移ろうもの。
次は、彼女の機嫌を優雅に整える「魔法の数字」について話をしよう。
> P.S. ——
どうしてもお姫様の機嫌がなおらない時は。
焦らなくていい。
僕だって、いまだに彼女に突き放されることばかりさ。
そんな時、僕がいつも読み返す「彼女の心の紐解き方」を置いておくね。
[ 処方箋|うまく撮れない原因を探る手引 ]
僕とワガママ姫
「理屈」を「愛」に変える、10のレッスン
- Prologue
- Lesson 1
- Lesson 2
- Lesson 3
- Lesson 4
- Lesson 5
- Lesson 6
- Lesson 7
-
ワガママ姫とシャッタースピード(準備中)
- Lesson 8
-
ワガママ姫とISO感度(準備中)
- Lesson 9
-
ワガママ姫と不機嫌の正体(準備中)
- Lesson10
-
ワガママ姫とマニュアル露出(準備中)
- Epilogue
-
ワガママ姫とRAW現像(準備中)
僕とワガママ姫
「理屈」を「愛」に変える、10のレッスン
- Pro
- L 1
- L 2
- L 3
- L 4
- L 5
- L 6
- L 7
-
ワガママ姫とシャッタースピード(準備中)
- L 8
-
ワガママ姫とISO感度(準備中)
- L 9
-
ワガママ姫と不機嫌の正体(準備中)
- L10
-
ワガママ姫とマニュアル露出(準備中)
- Epi
-
ワガママ姫とRAW現像(準備中)

