第4話:ワガママ姫と撮影モード|その世界は、二人で決める

カメラのダイヤルに並ぶ「P・A・S・M」という文字。

全部使いこなそうとして説明書と格闘したり、「本格的に撮るならマニュアル(M)だ」という言葉に縛られて、設定に迷っている間にシャッターチャンスを逃してはいないでしょうか。

ファインダーを覗く前に、目の前からシャッターチャンスが去っていく。それが一番もったいないです。

そんなことに時間を割く必要はありません。もっとシンプルに考えて大丈夫です。

結論から言えば、覚えるべき撮影モードは「A(絞り優先)」と「S(シャッタースピード優先)」の二つだけです。

 廊下を歩いていると、
  ホールから足音が聞こえる。
 扉を開くと、
  プリンセスが自由に動き回っていた。
​ そして、ボクは手を取る。
​ 「ボクが踊れば、キミも踊る。
  そうだろう?」

なぜ「P」と「M」はメインにならないのか

ここで、「プログラムオート(P)」や「マニュアル(M)」についても触れておきます。

なぜこれらが“最初の一歩”としておすすめできないのか、理由があります。

プログラムオート(P):便利すぎて「原因」が見えなくなる

Pモードはいわば「AとSの中間」のようなモードです。

カメラがすべて決めてくれるので、大きな失敗は少ない。一見、万能に見えます。

しかし、すべてをカメラに委ねてしまうと、「なぜその写真が撮れたのか」という根拠が残りません。

この状態で撮る癖がつくと、失敗したときの原因が掴めず、次の成功につながりません。

Pモードは「とりあえず写す」には便利ですが、写真が上達するには少し優しすぎる環境です。

マニュアル(M):楽しさとリスクは隣り合わせ

マニュアルモードは、すべての設定を自分で決めるモードです。

カメラを操作している実感は確かに楽しく、趣味として突き詰めるなら素晴らしいモードです。

ですが、使いこなすには相応の勉強と慣れが必要になります。

設定に気を取られ、ダイヤルを回している間に、最高のシャッターチャンスは容赦なく過ぎ去ります。

Mモードは「表現を追い込むための道具」です。シャッターチャンスを失ってまで使うものではありません。

何を撮るかで、撮影モードは決まる

迷ったら、この質問だけ

今、撮ろうとしている被写体は、 止まっていますか? それとも動いていますか?

考えるのは、それだけで十分です。

  • 止まっている → A(絞り優先)
  • 動いている →S(シャッタースピード優先)

あとの面倒な計算は、すべてカメラに任せてしまいましょう。

絞り優先オート(A / Av):ボケるか、あまりボケないか

ここで言うのは、ボケの有無ではなく、どれくらいボケさせるか、つまりボケ量の話です。

風景やスナップ、ポートレートまで、撮影のほとんどはこのモードで完結します。

Aモードで決めるのは、ボカしたいか、隅々までクッキリ見せたいか。ただそれだけです。

迷ったらこの数字

  • ボカしたい時:F値を一番小さい数字(開放)
  • ボカさない時:F8 前後

自分がやりたい「表現」だけを決めて、あとは機械に働いてもらう。

この割り切りが、撮影を一番軽快にしてくれます。

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ほら、顔を上げて。
 恥ずかしがらなくていい。
  全てを見せる必要はないんだ。

ワガママ姫と絞り|正義のファビュラス

シャッタースピード優先オート(S / Tv):写し止めるか、躍動感を出すか

シャッタースピードは、「ブレを防ぐ設定」ではなく、動きをどう見せるかを決めるためのものです。

止まっている被写体はAで十分ですが、相手が動くなら話は変わります。

元気に走り回る子ども、予測不能な動きをする動物、目の前を通り過ぎる車。

これらを撮るときに優先すべきなのは、ボケではなく、 ブレさせずに確実に写し止めることです。

迷ったらこの数字

  • 歩いている人やペット:1/250秒 以上
  • 走り回る子どもやスポーツ:1/500秒〜1/1000秒

ブレてしまった写真は、後からどう頑張っても直せません。

動くものを撮るなら、迷わずSモードに切り替えてください。

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ボクは焦らない。 
 しかし、躊躇もしない。
「キミの瞳だけは、離しはしない」

ワガママ姫とシャッタースピード|神聖なる湯切り

露出の不安は「ISOオート」に任せる

AモードでもSモードでも、共通して設定してほしいのが「ISO感度のオート(ISO AUTO)」です。

絞りを絞ったり、シャッタースピードを速くしたりすると、画面が暗くなることがあります。ですが、そこで怯えて設定を妥協する必要はありません。

今のカメラは優秀です。ISO感度をオートにしておけば、明るさはカメラがうまく調整してくれます。

多少ノイズが乗ったとしても、ミスカットになるよりは、はるかにマシです。

※ 可能であれば、ISOの上限(例:ISO6400など)だけは設定しておくと安心です。

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プリンセスが
 楽しもうとも、悲しもうとも、
  ボクには関係ない。
 全てを受け入れるだけなのだから。

ワガママ姫とISO感度|怪異に光あれ

撮影モードは、迷わないためにある

マニュアルでダイヤルを回して写真を撮る人だけが、写真が上手い人ではありません。

最適な撮影モードを選び、目の前の光景に合った設定を瞬時にできる人が、結果として良い写真を残します。

Aモード、Sモードは、難しい撮影モードではなく、 余計な計算をカメラに任せ、自分は必要な表現をに集中するためにあります。

カメラを構えて、被写体が止まっているなら「Aモード」に、被写体が動くのなら「Sモード」に切り替える。

それだけで十分です。

 ボクがリードし、
  プリンセスがフォローする。
 これがボクたちのステップさ。
 「なぁ、そうだろう?」
  ─────。
 ………。
…。

姫のワガママ

”手伝う”って言ってるのよ。
動いているの? 止まっているの?
それくらい 見極めて

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 ボクとプリンセスの物語はこれでおしまい。
 次回からは別のプリンセスの登場さ。
 それじゃあ、キミはキミのプリンセスと
  幸あらんことを──。

第5話:ワガママ姫と露出の三要素|極上の一杯を求めて

いいから、カメラ持って外行こうぜ!

俺のデジモノ手記


01 思考の章

写真は、楽しければ良い


02 技術の章

カメラで、遊ぶ


03 表現の章

「誰か」の真似は、もう終わり


04 結実の章

今の僕の答え


付録

使用機材とカメラ設定