オートフォーカスの歴史とその仕組み

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オートフォーカス(AF)の実用化によって、マニュアルでピントを合わせる必要が無くなりました。

現在は数えるほどしか残っていないAFの方式ですが、ここに来るまで様々な試行錯誤や葛藤がありました。

AFに名乗りを上げた最初のメーカーはキヤノン。1963年に試作品であるキヤノンAFがフォトキナにて発表されたのでした。

キヤノンAFはパッシブ方式と呼ばれるカメラに入ってきた光を元にピントを調整する方法で、コントラスト検出方式でした。パッシブ方式の他には、光や音波を発して距離を測るアクティブ方式があります。

  • アクティブ(道具を使う)
    • 超音波
    • 赤外線
  • パッシブ(実際の光を使う)
    • コントラスト検出(コントラストAF)
    • 位相差検出(位相差AF)
目次

各社ほぼ同時にAFのスタートを切る

AFの前に自動露出システムが完成しており、カメラ業界として自動化の流れがありました。

各社がAFを開発する中で、火蓋を切ったのは1977年にコニカが発売したKonica C35 AF。ピンボケしないジャスピンコニカの愛称で登場しました。

多くのメーカーがハイエンドモデルにAFを搭載しようと試行錯誤していたところ、コニカはシンプルで初心者に扱いやすいコンパクトカメラに搭載した事が功を奏しました。

搭載した方式は、キヤノンの発表したコントラスト検出方式ではなく、「2つの窓から入った像をミラー(片側は固定で、片側は可動)に写し、結合する位置にピントを合わせる」というパッシブ方式の二重像合致方式で、いわゆるレンジファインダーを自動化した仕組みでした。

世界初のAFで、初心者でも簡単に扱えるKonica C35 AFは大ヒットとなりました。

続いて登場したAFは1978年でKonica C35  AFとほぼ同時。ポラロイドが超音波を発し、戻ってくるまでの時間で距離を測るアクティブ方式のSX-70 SONARが発売。

更にキヤノンが1980年に二重像合致方式で測量を赤外線で行う、アクティブ方式のキヤノンAF35M(オートボーイ)が登場しました。

色々なAFを模索している事が良く分かり、後を追ったというより、発表の先を越されたといった所でしょう。

良いスタートが切れなかったコントラストAF

コントラストAFが最初に実装されたのは1981年に登場したペンタックスME F。世界初のAF搭載のレンズ交換式一眼レフでもありました。

コントラストAFは入ってきた光を元にピントをコントロールするパッシブ方式で、以下のようにピントを判断しています。

  • ぼやける→コントラストが低い→ピントが合っていない
  • くっきり→コントラストが高い→ピントが合っている
  1. ピント面を探す
  2. 合焦(コントラストが高くなる)
  3. 行き過ぎ(コントラストが下がる)
  4. 合焦した位置に戻る

コントラストAFは上記の動作をしており、合焦位置を正しく検出するために一度ピント面を通り過ぎる必要があり、合焦に時間がかかる事がデメリットでした。

またフィルム時代のコントラストAFはコントラスト検出センサーを必要とし、センサーの精度が低かった事もあって、当時は鳴かず飛ばず。

最初にコントラストAFの試作品を発表したキヤノンも、製品として1985年にキヤノンT80を発表しましたが、こちらも同様の理由からヒットには至りませんでした。

そしてコントラストAFは長い夜を過ごす事になります。

覇権を握る位相差AF

キヤノンT80が目立たなかった別の理由に、同じ1985年にミノルタから登場したα-7000の存在もあります。

α-7000はパッシブ方式で、世界初の位相差AF搭載レンズ交換式一眼レフと言えば結果は察しがつく人も多いでしょう。

位相差AFは位相差センサーというAF専用モジュールが搭載されており、左右の位相差センサー2つがセットとなっています。

  1. 一眼レフ内のレフレックスミラーから一部の光を透過
  2. 透過した光を2つにセパレートしてそれぞれの位相差センサーに当てる

位相差センサーにはピントが合った状態の基準点が決まっており、位相差センサーに当った光の位置と、基準点の差からピント面を算出します。

よくわからんやろ?実は俺もよくわかってない。

位相差AFは素早く正確なコントロールができる事が最大のメリットであり、位相差AFは各メーカーの一眼レフの標準的なAF制御となっていきます。

そして一眼レフのAF制御はミラーレス一眼と切り替わる2020年頃まで位相差AFが握る事になります。

α-7000の爆売れは「αショック」なんて言われてます。

デジタル化によりコントラストAFに日の光が当たる

1995年にはカシオが元祖デジカメ(デジタルカメラ)とも呼べるQV-10を発表。

カメラにノウハウの無いカシオがカメラを作った事が大きな話題となり、これを皮切りに様々なメーカーがデジタルカメラに参入します。

デジカメがスタートを切った当初はファインダーの需要が大きかったようで、ファインダーと一緒に位相差AFを搭載したデジカメや、赤外線のアクティブ方式のAF搭載のカメラも存在していました。

しかし時代の流れと共に、デジカメはコンパクトさを追求したコンデジ(コンパクトデジカメ)と、クオリティを追求したデジタル一眼レフの二極化していきました。

二極化する中で、デジタル一眼レフはフィルムカメラと構造に変化はないため、位相差AFのスタイルを貫いていました。

「ではコンパクトさが求められるコンデジにどんなAFを搭載するのか?」と考えたその答えがコントラストAFでした。

過去に登場したコントラストAFを振り返ると、当時はフィルムカメラであったため、コントラスト検出センサーが必要でした。

しかしフィルムがイメージセンサーに置き換わった事によりイメージセンサー単体でコントラストが検出できるようになり、コントラスト検出センサーを搭載する事なくピントを調整できる時代が訪れたのでした。

そして2008年には最初のミラーレス一眼であるパナソニックLUMIX DMC-G1が登場。搭載したAFはもちろんコントラストAFでした。

…コ…ラストAF…目覚めなさい、コントラストAF…!

コントラストAFはイメージセンサーの向上とともに精度も上がっています。

加えてフォーカスピーキングや瞳AFなど、位相差AFにはできない精度の高いコントロールも可能になりました。

処理エンジンやAIの搭載によって、まだ伸びしろのある分野とも言えます。

コントラストAFはコンデジとミラーレス一眼の特権のように書いてしまいましたが、実は一眼レフでもコントラストAFは搭載されています。

ただし、一眼レフのコントラストAFはライブビューモニター(背面モニター)の使用時のみファインダーを覗くと位相差AFに切り替わる仕組みでした。

ファインダー(OVF)と背面液晶の相性が良くなかったためです。

位相差AFに立ち向かう像面位相差AF

ミラーレス一眼が表舞台に立った頃。一眼レフの位相差AFと、コンデジやミラーレス一眼のコントラストAFでは速度に大きな壁がありました

この課題をクリアした仕組みが像面位相差AFです。

像面位相差AFとは、位相差という名称が残っている点を見れば分かるように、位相差AFをイメージセンサー(像面)で行う事ができ、位相差検出モジュールを画素(位相差検出画素)に置き換える事が可能になりました。

初の像面位相差AFは2010年、富士フイルムのコンデジであるFinePix F300EXR

ミラーレス一眼としては2011年のNikon1(J1とV1が同時発売)に初めて搭載されました。

位相差検出画素は、色が検出できなくなるデメリットがあり、一時は採用しないメーカーもありましたが、イメージセンサーの高画素化も助長して現在はほぼ全てのメーカーが採用しています。

レフレックスミラーを搭載する一眼レフの特権であった位相差AFは、カメラ業界全体のミラーレス一眼への移行により搭載不可能に。ミノルタのα-7000から実に30年以上の歳月を担った位相差AFはここで幕を閉じます。

ミラーレス一眼が一眼レフに位相差AFの速さでマウントを取られていた過去を俺は忘れないぞ。

時代はハイブリッドAFへ

像面位相差AFが搭載された当初から、像面位相差AFとコントラストAFの二つが可能なハイブリッドAFという仕組みが採用されていました。

  1. 前後と距離が判断可能な像面位相差AFで大まかにピント調整
  2. 最終的なピントはコントラストAFで微調整

ハイブリッドAFは上記の順序で動作しており、お互いのデメリットをフォローし、長所を高め合う、最強タッグとも言える組み合わせです。

様々あったAF制御は現在はほぼハイブリッドAFに統一されており、悪い言い方をすると『落ち着いてしまった感』があります。

しかし位相差検出画素の色が読み取れないデメリットは未だに残っており、まだまだ改善の余地はあるので、まだまだ進化を楽しめそうです。

ちなみにキヤノンは1画素で位相差と画像信号の2つを読み取る事ができる、デュアルピクセルCMOSというイメージセンサーを搭載しています。

みんな気が付いてたか?AFを発展させたのは、ほぼ全て日本のカメラメーカーなんだぜ。

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