一眼カメラの入門モデルにはフラッシュが搭載されているのに対し、プロやハイアマチュア向けのモデルはフラッシュが搭載されていない事を不思議に思った人もいるかもしれません。
一眼カメラにはアクセサリーシューが搭載されており、上級機種ではこのアクセサリーシューにストロボを取り付ける方が一般的です。
そんなストロボですが、入門モデルのフラッシュのようにただ光るだけに留まらないのが外部フラッシュを選ぶ上で難しいポイントです。
そんなフラッシュの選び方におけるポイントをまとめてみました。
外部フラッシュを使う理由

何故ハイエンドモデルにフラッシュが搭載されていないのかというと、1つの理由がストロボは不要という人も多いから。
特に望遠を使う鉄道や野鳥の撮影ではストロボの光は届かないので、付いていたところで邪魔なだけです。
ただ、もちろんそんなシンプルな理由だけじゃありません。
光量の調整が可能
カメラの内蔵フラッシュには光量の調整機能はありませんが、外部フラッシュは光量の調整が可能です。
フラッシュの光量を上げてISO感度を下げたり、絞りを絞ったりと、作品の表現の幅を広げる事ができます。
光量の調整は複数のフラッシュを使う多灯ライティングで特に効果を発揮し、フラッシュAは1/2、フラッシュBは1/16といった光量の調整によって作品作りができるのが最も大きな特徴です。
強い光でシャッタースピードを稼ぐ
誰もが簡単に思いつく理由といえば、暗いロケーションでの補助的な役割でしょう。
カメラ的に言うと、被写体を明るく照らして、シャッタースピードを稼ぐというのが狙いです。
特に室内での撮影は光量不足が課題となるので、フラッシュは必須とも言える機材です。
フラッシュはこんな機能があります!

クリップオンかモノブロックか
まず大きな種類の違いとして、フラッシュにはクリップオンとモノブロックがあります。
クリップオンとは、カメラのホットシューに取り付けるタイプのフラッシュで、主にバッテリーで動作します。
発光部の角度を調節できる物が多く、モデルによって角度、回転などが若干違う事もあるので、要チェックのポイントの一つでもあります。
逆に、モノブロックはカメラへの取り付けが不可能となっており、主にコンセント、少数ですがバッテリーからの電気供給で動作するモデルもあります。
オフカメラライティング(カメラとフラッシュを離す)が前程のため、発光はアクセサリーシューに有線や無線の送信機を取り付け、シャッターのタイミングに同調して発光します。
有線のケーブルは安価ですが、無線のコマンダーは安くはないので、追加で料金がかかる事も覚えておきましょう。
バッテリーとコンセントの違いで察しがついている人も多いと思いますが、モノブロックの方が光量が強く、チャージ時間が短い物が多いです。

他にジェネレーターという大型のフラッシュもあるけど、かなり高価なので割愛です。
ガイドナンバーで光量が決まる
ガイドナンバー(GN)はフラッシュの最大の光量の数値なのですが、これが少し厄介です。
GNは「ISO感度100、被写体との距離1M」で計算されており、高いGNのフラッシュほど光量も強いです。
しかし、外付けのフラッシュには照射角度を変えられるモデルが多くあり、この照射角度がGNを厄介にしています。
GNは照射角が広くなると小さくなり、逆に照射角が狭くなると大きくなります。

水道のホースの出口を小さくすると、水圧が強くなるイメージです。
例えば、フラッシュAは照射角度が105mmでGN60、フラッシュBは照射角度が35mmでGNが35というフラッシュがあったとします。
パッと見ではGN58のスロトボAの方が強いようですが、照射角度を同等にすると、フラッシュの強さとしては同等です。
無線機能でオフカメラライティング
クリップオンとモノブロックの違いでオフカメラライティングについては触れていますが、クリップオンでもオフカメラライティング(カメラとフラッシュを離す)が可能です。
- 光通信・赤外線通信
- 電波通信
無線通信には上記の2種類がありますが、現在の主流は電波通信です。
光通信と赤外線通信は、いわゆるテレビのリモコンと同様のコントロールで、長距離の通信や薄い遮蔽物があると、簡単に通信ができなくなります。
これに対し、電波通信は上記のデメリットがありません。
他にも、以下の特徴があり、圧倒的なメリットがあります。
- コマンダーから光量が調整可能
- メーカーに関係なく、チャンネルが合えば問題無し
ハイスピードシンクロの対応
フラッシュはカメラのシャッタースピードがある程度(1/250秒くらい)長くないと、幕切れというシャッタースピードにフラッシュが間に合わない現象が発生します。
このシャッタースピードの制限を無くす機能がハイスピードシンクロ(HSS)です。
HSSは無線通信のみで使用する事ができ、屋外で絞りを開いて撮るケースでは重宝します。
シャッタースピード1/8000秒まで対応してくれますが、シャッタースピードが短くなるにつれてフラッシュの光量が落ちるのがデメリットです。
モデリングライトの搭載
オフカメラライティングのネックなポイントと言えば、シャッターを押すまで効果が分からない事。
モデリングライトはフラッシュの補助光であり、そんなオフカメラライティングのデメリットを解消してくれます。
フラッシュの光がどのように当たるのかが分かるので、シャッターを押す前にフラッシュの位置や角度を調節できます。

モデリングライト搭載ののクリップオンは高価なので、最初は非搭載で良いかと。
TTL(自動調光)の対応
フラッシュ初心者にとって最初の難関が光量の調整ですが、その光量の調整を自動で行ってくれるのがTTLです。
フィルムカメラ時代のTTLとデジタルカメラのTTLは仕組みが異なり、デジタルカメラのTTLは最初にプリ発行(測定用の発光)をして、次に本発光を行います。
ETTLやPTTLなど、名称が色々ありますが、メーカーによる呼び方の違いで、仕組みは同じなので、TTL対応と書いてあれば深く気にする必要はありません。
TTLについては別の記事があるので、こちらを参考にどうぞ。

乾電池とリチウムイオン電池
電池についてはあまり説明する必要は無いと思いますが、乾電池は自宅に忘れたり、充電を忘れた場合でも、コンビニでも手軽に手に入ります。
また、オフカメラライティングを行うコマンダーも乾電池を使う物が多いので、流用が利くのもメリットです。
リチウムイオン電池は、自宅で充電したり、同じ型の予備を準備する必要がありますが、乾電池よりチャージが早く、発光回数も多いです。
電子音でチャージ完了が分かる
あまり触れられませんが、個人的に重要だと思っているのが、チャージ完了の電子音です。
写真の撮影において、特にモデルを撮る場合は、シャッターを切るリズムというのはポージングの兼ね合いもあり、コミニュケーションの一部だと考えています。
チャージ完了の「ピッ」っという音が無いと、次のシャッターのタイミングが分からず、「フラッシュが発光しない」「テンポが悪くなる」といった事態が起こります。
アクセサリーシューのチェックもお忘れなく
最後にフラッシュを取り付けるアクセサリーシューについて。
フラッシュの接点はシンクロ接点と呼び、アクセサリーシューの大きなボタン状の接点なのですが、デジタルカメラになって、各メーカーがシンクロ接点とは別に独自のコネクターを搭載するようになりました。
このコネクターはフラッシュとは関係なく、マイクやEVFなどの多用途で使用する事から、マルチインターフェースシューとも呼ばれます。
シンクロ接点が一致していれば発光はするようですが、コネクターが一致していないと、フラッシュがアクセサリーシューに正しくセットできない可能性もあるので、自分のカメラとフラッシュが適合するかのチェックもしておきましょう。

最初の一台はクリップオンで大容量のモデルを
最初の1本はクリップオンがおすすめです。
オフカメラライティングも魅力的ですが、設定がかなり複雑になるので、心が折れる可能性や、フラッシュのライティングにハマらない可能性もあるからです。
クリップオンなら入門モデルのカメラに近いクリップオンのライティングから天井バウンス、後でコマンダーを買えばオフカメラライティングも可能なので、損がありません。
厄介と紹介したGNについては、オフカメラライティングまで考えると光量も強い方が良いので、GN60前後のモデルがオススメです。
もちろんメーカーの純正フラッシュが安心なのは間違いありませんが、かなり値段が張るので、最初は社外メーカーでも大きな違いは感じないと思います。

社外品は安定性や光量のバラつきがあると言われますが、僕は体感した事は無いです。