とあるフォトコンテストの最優秀作品が、合成である事が指摘されました。
富士山写真の最優秀賞に「合成」指摘 「満月撮れない」:朝日新聞デジタル
富士山と満月の写真なのですが、以下のような事が指摘されました。
- 撮影日時と月の位置が合わない
- 月の後ろに雲がある
- 月の色が変わっている
応募の規定には「合成不可」
合成の線引きはとても難しく、色々な場所で議論がされています。
ただ、富士山に当日に無かった満月を重ねたならそれは間違いなく合成でしょう。
「合成不可」と書かれたコンテストに合成した写真を応募するのは完全にカメラマンのモラルの問題です。
格闘技で金的を繰り出すようなもの。
合成を見抜けない主催者に非はあるか
この問題について、「やるなら主催者も知識を」という意見もあります。
僕もフォトコンテストについては過剰な加工を見抜く技術くらいは必要だと思っています。
ただ、今回の問題に関しては、「合成不可」という規定が出ており、主催者も合成された写真が送られてくるとは思っていなかったのではないでしょうか。
応募者がルールを守り、合成写真を送らなければ、そもそも今回の炎上は起こっていませんでした。
金的が見事にクリーンヒット。
合成を見破る事はどんどん難しくなっている
合成の技術というのはどんどん向上しています。
今回の合成がわかった経緯も、写真を見て合成だと分かった点もありますが、撮影日と月の位置の不一致というのが最も大きなポイントでしょう。
詐欺と同じで、人を騙す技術は常にアップデートされており、今回の写真も撮影日まで偽装すれば小さな噂程度で収束していたかもしれません。
加工を見破る目と、合成を見破る目は違う
写真の過剰な加工を見破るには、写真のノイズ感や色味を確認します。
これに対して、合成写真というのは、合成したレイヤーのエッジや、太陽光に対する影の位置などを確認します。
加工と合成ではチェックをするポイントも違うので、加工と合成の二つをチェックすると大きな時間の浪費となります。
審査員の余計な仕事を増やすな。
「綺麗なら何でも良い」は間違い
今回のような観光地系のフォトコンテストでは「コンテストによって集客できるかが重要」という意見もあるでしょう。
ですが、実際に観光地に来た人が「写真と違う」という感想を持っては、集客として効果があったとは言えません。
コンテストが終わった後にどのような事が起きるのかという事まで考えて、責任を持って撮影と審査をする必要があるのではないでしょうか。
合成写真OKのコンテストも面白いかも
見方を変えると、デジタルが主流の今、編集云々の話をする事の方が時代遅れなのかもしれません。
全てのJpegは加工されたデータですし、写真愛好家で写真編集(RAW現像)をしない人の方が少数です。
「どこからが加工なのかわからない」というなら、いっそのこと合成写真OKという条件も面白いかもしれません。
写真と合成写真は別ジャンルです。
問われているのはカメラマンの常識
「写真部門」と「合成写真部門」を作ったところで、合成写真を写真部門に投稿する人がいては、面白くありません。
どんな面白いコンテストを開催しようと、ルール違反がいれば途端に面白くなくなってしまいます。
そんなルール違反の写真が入選したとなれば、なおさら面白くありません。
面白くないコンテストには応募しませんし、応募の無いコンテストの行く末は衰退です。