【画質だけじゃない】プロカメラマンはなぜAPS-Cではなくフルサイズを選ぶのか

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ネットでカメラの記事を見ていると、「プロカメラマンはフルサイズ」という内容をよく見かけます。

たしかにフルサイズは高画質です。よくボケるし、暗所にも強い。スペック的にはほとんどのケースでフルサイズがAPS-Cを凌駕しているでしょう。

しかし、プロカメラマンは本当に画質やスペックのためにフルサイズを選んでいるのでしょうか。

画質が最も重要なら富士フイルムやハッセルブラッドの中判センサーカメラがプロカメラマンのスタンダードになっているはずです。

僕はプロの現場にいたわけでも、直接話を聞いたわけでもありません。
しかし、色々な記事やインタビューを眺めていると、「フルサイズを選ぶ理由は“信頼と実績”なのではないか」と思うようになりました。

僕も時々撮影を頼まれますが、機材のトラブルというのは本当に怖いものです。
たとえ趣味の延長でも、いざという時に動かないと本当に困るし、機材が原因でシャッターチャンスを逃すような事があってはいけません。

プロの世界ならなおさら、“信頼と実績のある機材”というのは何より大事なんだろうなと感じます。

この記事ではトップ2を走るキヤノンとニコンを中心に、それぞれの歴史とプロに支持されてきた理由を掘り下げていきます。

目次

キヤノン:プロを支えるフルサイズカメラの象徴

キヤノンは1930年代に「Kwanon(観音)」という試作機を作ってから、80年以上カメラを作り続けている老舗メーカーです。

戦後には「F-1」や「AE-1」など、当時の最先端を行くカメラを次々と出してきました。

バランスの取れた設計は様々な分野で活躍していますが、特に報道現場では、キヤノンのサービス網や修理体制の安心感が重宝されてきたと言います。

オリンピックでは、報道カメラマンの多くがキヤノンのフルサイズカメラ「EOS-1Dシリーズ」を使用し、アスリートたちの一瞬の躍動を切り取っていました。

決定的瞬間を逃さない高速AFと堅牢性は、世界中の“伝説のスポーツ写真”を支えた存在と言えるでしょう。

カメラ業界のトップを走るキヤノンは、長い歴史の中でユーザーの声を聞きながら改良を重ね、「優れた色表現」「扱いやすいボディ」「安心のサポート体制」の3つを徹底してきました。

それこそが、まさに“信頼と実績の歴史”です。

ニコン:堅牢性と伝統を誇るフルサイズカメラメーカー

ニコンは1917年創業の老舗で、フルサイズカメラの歴史においても欠かせない存在です。戦場カメラマンがNikon Fを首から下げていた写真は、もはや伝説です。

報道やスポーツの現場だけでなく、自然や冒険の舞台でもその信頼性を発揮してきました。

たとえば、1970年代のエベレスト遠征では、極寒の中でほとんどの機材が凍結するなか、Nikon F2が唯一動作したという逸話も残っています。

1980年代には報道用の定番機Nikon F3が登場し、プロフェッショナルの現場で“壊れないカメラ”として不動の地位を築きました。

さらに、NASAの宇宙飛行士が使ったNikonカメラも有名で、宇宙空間という極限環境でもその信頼性が証明されています。

近年では、フルサイズミラーレスのZシリーズを通じて、伝統的な堅牢性と最新技術を融合させる方向へと進化しました。

100年以上にわたり築き上げた堅牢性と信頼性のブランド力は、今もニコンのフルサイズカメラに脈々と受け継がれています。

Fマウント1本で半世紀以上。これこそがニコンの信頼の証。

ニコンFマウント誕生50周年 | ニュース | Nikon 企業情報

ソニー:後発ながら進化したフルサイズカメラメーカー

ソニーは電子技術のスペシャリストで、イメージセンサーのシェアでは世界トップクラス
スマートフォンから放送機器まで、あらゆるイメージングの根幹を支えています。

カメラ分野への参入はコンパクトデジカメからですが、レンズ交換式カメラメーカーとして本格化したのは2000年代に入ってから。

2013年に世界初のフルサイズミラーレス一眼としてα7を世に送り出しましたが、当初は「本番で使うのはちょっと怖い」「コンパクトすぎて持ちにくい」という声もありました。

とはいえ、ソニーはそこから見事な快進撃を見せてくれました。

プロカメラマンやアマチュアカメラマンの意見を取り入れ、ハードとソフトの両面から改善を重ね、今では第三のフルサイズカメラメーカーとして確固たる地位を築いています。

富士フイルム:中判という“フルサイズを超える選択”

富士フイルムは、世界No.2のフィルムメーカー
カラーフィルムの時代から“富士の色”と呼ばれる発色が愛されてきました。

ただ、2000年代のデジタル化の波でカメラ事業を縮小し、一度は主役の座から離れています

そこから再出発したのが、2012年のAPS-Cの「Xシリーズ」。フィルム表現をデジタルに落とし込んだフィルムシミュレーションを武器に、写真の楽しさを思い出させてくれるようなレトロなカメラを多く販売しています。

そしてさらに、2017年にはフルサイズセンサーより大型な中判センサーを搭載したGFXシリーズを投入。圧倒的な描写力で、広告やファッションの現場でも少しずつ採用が増えています。

なぜ富士フイルムが中判を選んだのかといえば、それは「フルサイズとの差別化」と「最高の画質へのこだわり」です。

もともとフィルムメーカーだった事もあり、画質と色再現への追求は他社とは一線を画しています。

そのため、あえてフルサイズには参入せず、自分たちの得意分野を極める方向に舵を切ったのです。

富士フイルムユーザーの多くは、富士フイルム独自の色表現を大きな魅力に感じています。

ある意味で、それも“信頼と実績”のひとつの形なのかもしれません。

信頼のおけるメーカーの高画質なカメラがフルサイズだった

フルサイズとAPS-Cに結論を出すのなら、長い年月をかけて“信頼と実績”を築いてきたカメラメーカーが作る高画質なカメラが、結果的にフルサイズだったという事なのでしょう。

もし、キヤノンやニコンが中判センサーのカメラを売り出せば、プロカメラマンのスタンダードはフルサイズから中判になる可能性は十分にあると思います。

カメラは機械なので、数字やスペックで語れる部分も多いですが、長く付き合う上で必要なのは、画質ではなく“信頼と実績”、そして“自分に合う使い心地”だと思います。

これらはスペックに表せないもので、たとえばカメラの握り心地や、シャッター音の気持ちよさ、操作レスポンスの信頼感など、感覚的な要素も大きな部分を占めています。

どんなに優れた機材でも、撮影していて楽しくなければ、写真もどこかぎこちなくなる。

逆に、手に馴染むカメラで撮った一枚には、“自分らしさ”が出る。

結局、カメラ選びは信頼できるメーカーと自分の感覚の両方で決まるのかもしれません。

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