フィルムから離れてしまった現在。
フィルムは衰退の真っ只中といった所ですが、やっぱりデジタルって便利なので「衰退は仕方ない」と思っている人が大半だと思います。
SDカードにたくさん保存できるし、帰宅したらPCに取り込んで、編集もプリントも簡単です。
これがフィルムになると、撮影枚数にも制限があるし、自宅でフィルムの”現像”なんてできません。
いや、待てよ。
「現像」ってなんだ?
昔は「フィルムを現像してくるね」なんて言ってたけど、これって今で言う「RAWデータの書き出し」の事?
フィルムは写真屋で同時プリントを行う
撮影が終わったフィルムは、一般的には写真屋に持って行き、同時プリントをします。
同時プリントというと、もちろん何かを同時にするのですが、その何かがとても重要で、この記事の答えでもあります。
その答えとは「現像とプリント」。
フィルムは「現像」と「プリント」という2つの行程を経て写真となります。
「フィルムを現像してくる」というのは半分正解で半分誤り。「フィルムを同時プリント(現像とプリント)してくる」が正しい答えです。
RAW現像とフィルム現像

知っている人も多いと思いますが、RAW現像とは、RAWデータを編集する作業です。
一方でフィルム現像とはフィルムに薬品を通し、ネガフィルム(ネガ)を作る作業に当たります。
更にこのネガを印画紙にプリントする事で写真ができあがるのです。
フィルムの現像作業はデジタル写真においては存在しない工程です。

写真屋で「現像のみ」と伝えれば、ネガだけ(写真は無し)渡されます。
ここで勘違いが起きたのかも
上で紹介したように、RAW現像とフィルム現像は全く別の物です。
しかし「現像」というワードが同じ事から、とある勘違いが一部で発生しているようです。
その勘違いこそが、この記事のタイトルにもある「RAW現像=Jpegへの書き出し」という事。
おそらく下記のような流れで「現像」の認識が変わってきたのではないでしょうか。
- 同時プリント=現像+プリント
- 現像≒現像+プリント
- 現像=プリント(誤り)
そして「現像=プリント」という間違った認識によって、「RAW現像=Jpegへの書き出し」という答えに至ったのでしょう。

「フィルム 現像」と検索すると、現像ではなく同時プリントが結果に表示されるのはGoogle先生の優しさ。
フィルム時代はプリントの段階で編集をしていた
最後にちょっとした豆知識なのですが、写真編集というと、現代のデジタル編集をイメージする人も多いと思いますが、実は写真編集はフィルム時代からある技術です。
紹介したように、フィルム時代の写真は現像が終わったネガを印画紙にプリント(焼き付け)をする行程がありました。
このプリントの行程で以下のような方法で編集が行われていました。
- 焼き付ける時間を調整→露出補正
- 一部を覆う→覆い焼き
- 一部を露出→焼き込み

「RAW現像=プリント工程」の方が作業としては近い。
プリント作業は職人の技
プリント作業の様子
手の込んだプリントの編集は一般的な写真屋では行われておらず、職人の技でもあり、当時は職業の一つでした。
職人技だった写真編集がデジタルになった事で大きく敷居が下がり、現在のRAW現像があります。

便利な世の中とはまさにこの事。
