2018年もソニーのカメラの売れ行きが好調です。
そして一眼レフ大手であるキャノンは2018年の第一四半期は数年ぶりの赤字です。
ソニーはまだまだ一眼レフのシェアを奪っている段階で、ミラーレスが一眼レフを抜いたとは言えない今の状況ですが、ミラーレス一眼が一眼レフを抜く可能性も十分あると思っています。
ソニーのミラーレス一眼が売れているは知っているけど、何故ソニーが売れるようになってきたのでしょうか。
この記事では何故、今ソニーのミラーレス一眼が売れるのか。
その理由について解説していきます。
一部自分の見解や他人から聞いた情報もあります。
話半分くらいで見てもらえればと思います。
ミラーレス一眼と一眼レフ
本題の前にミラーレス一眼と、一眼レフの違いについて説明します。
レンズ交換式カメラには一眼レフとミラーレス一眼があります。
この2つのカメラの事を総称してこの記事では一眼カメラと書いていきます。
一眼レフはレフという名称が付いている通り、内部に光を反射するミラー(レフ)が搭載されます。
ミラーレス一眼は内部からミラーを取り除いたので、ミラーレス一眼という名称になっています。
一眼レフはフイルム時代のカメラと仕組みはほとんど同じです。
デジタル化に伴って、フイルムがイメージセンサー(映像素子)に置き換わったくらいで、大きな変化はありません。
ミラーレス一眼の仕組みは、誰もが持っているケータイのカメラと同じです。
レンズから通ってきた光をイメージセンサーで受けて、受けた光をディスプレイに映し出します。
フイルムに代わって登場した光を受けて画像を作り出す電子部品です。
カメラの心臓部にあたり、カメラの価格はこのイメージセンサーの価格だと思って貰っても過言ではありません。
イメージセンサーはこの後も沢山出てきます。
カメラを全て自社で製造するソニー
ソニーの一眼カメラの歴史は2006年からで、キャノンやニコンに比べるととても浅いものです。

ソニーが一眼カメラを始めたきっかけはフイルムからデジタルへ移行し、これまでイメージセンサーを提供していたコニカミノルタの営業不振から、コニカミノルタの一眼レフ事業を引き継ぎました。
この時ソニーはカメラ本体からレンズまで全て自社で製造するメーカーとなりました。
色々なカメラメーカーがありますが、実はカメラを全て自社で製造しているメーカーは少ないです。
一眼レフ大手であるニコンはイメージセンサーを自社で製造していません。
一部のニコンのカメラではソニーのイメージセンサーを採用したカメラもあると言われています。
(イメージセンサーの供給元は公表されません。色々な人が検証した結果です)
ニコンでは、他社から買ったイメージセンサーを自社で解像してカメラに搭載しています。
全てを自社で製造しているソニーはイメージセンサーと他のパーツとの情報共有が可能で同時に開発する事ができます。
イメージセンサーの開発が終わる頃には、他の部品も完成していて、残るは組み立ての最終段階です。
他社の部品を採用するメーカーは、製品として一度完成した部品(イメージセンサーなど)が届いた後に他の部品の開発に着手するので、スタートが遅れが出てしまいます。
ソニーがカメラを販売する特徴として、数年前の古いカメラも現役で販売されています。
自社で全て開発するソニーのカメラは、発売された時点で他社の性能を一歩リードしているので、長い時間がを現役で戦う事ができるカメラになってます。
イメージセンサーとレンズの関係
カメラと切り離せないのがレンズです。
レンズの良さは色々と判断するポイントがあるのですが、レンズの良さ一つにカメラの画素数に耐えられるかがあります。
カメラの画素数は年々上昇しており、画素数に合ったレンズの性能求められます。
ソニーカメラでα7Rシリーズという4000万画素を超える高画素なカメラが存在します。

α7Rはあまりの性能に世間を驚かせましたが、もっと驚いたのはα7Rが発売する以前に登場していたレンズもα7Rの高画素に通用する性能で作られていた事でした。
前述した通りソニーはカメラを全て自社で製造しているので、数年後にどれくらいの画素数のカメラを作る事ができるのか知っています。
数年先を見据えたレンズの製造ができるところも、イメージセンサーからレンズまで、全て自社で製造するソニーだからこそできる技と言えるでしょう。
ソニーはミラーレス一眼が得意だった
ミラーレス一眼の仕組みは前述した通り、一眼レフからミラーを取り除いたカメラで、スマートフォンやコンパクトデジカメ、ビデオカメラと同じ仕組みです。
コニカミノルタから一眼レフの技術を受け継いだとはいえ、中でミラーが駆動する一眼レフは構造的にソニーの得意分野ではありませんでした。

ソニーはコニカミノルタと合併する前から、コンパクトデジカメやハンディカムを製造しており、人気を得ていました。
ミラーレス一眼なら、これまでに培ってきたカメラやハンディカムの技術も応用できます。
つまりソニーはミラーレス一眼に参入する前からミラーレス一眼に必要な技術は十分なほど持っていました。
こういった観点からもソニーが一眼レフよりミラーレス一眼に力を注ぐ大きなきっかけになったと思います。
カメラが売れるとソニーはもっと儲かる
全てを自社で製造しているメーカーとして、一眼レフ最大手のキャノンがあります。
キャノンもソニーと同じくカメラの部品を全て自社で作っています。
(一部のカメラでは他社のイメージセンサーも使っているらしいですが)
この2社の大きな違いはカメラを作る目的にあります。
ソニーは電子機器の総合メーカー
ソニーは一眼カメラの歴史は浅いですが、イメージセンサーは長く製造しています。
一眼カメラを作る前から、ソニーは自社のコンパクトデジカメやハンディカムにイメージセンサーを搭載し、そして他社にもイメージセンサーを提供していました。
そんなソニーのイメージセンサーのシェアは世界一を誇ります。
イメージセンサーはデジタルカメラばかりではありません。
ケータイ、監視カメラ、ノートパソコン、世の中には沢山のイメージセンサーがあります。
イメージセンサーは電子の目と呼ばれるほど需要が大きく、最近ではドローンや車載カメラも登場し需要はどんどん増しています。
キャノンはカメラ、プリンターのメーカー
キャノンはカメラ以外にプリンターも製造しています。
カメラが売れれば、プリントするためのプリンターも売れるので、プリンターやプリンター用のインクを売る事も戦略としています。
キャノンのプリンターとソニーのイメージセンサーの需要や規模を比べると、差は明らかですよね。

ソニーはイメージセンサーの代名詞である一眼カメラの実力が認められれば、他社からイメージセンサーの製造依頼がきます。
イメージセンサーの未来を考えればソニーにはキャノンに比べて、お金をかけて一眼カメラを開発する価値が十分にあるのです。
ミラーレス一眼の捉え方
パナソニックやオリンパスがミラーレス一眼に先手を打ち、あとを追ってミラーレス一眼に着手したソニー。
それに対し、一眼レフの大手、キャノンとニコンには王者の余裕というか「ミラーレス一眼なんて一眼レフのお手軽モデルだろ」という捉え方をしていたように見えます。
一眼レフがずっと残ると思っていた(思っている)キャノンとニコン、ミラーレス一眼を一眼レフ代わる次世代のカメラと考えていたソニー。
この時点で大きな差がついていたのかもしれません。
考えてみれば、ミラーレス一眼が売り出された当初に言われていた事はオートフォーカス性能の悪さでしたが、ミラーレス一眼のオートフォーカス性能を格段に上げたのがソニーのα6000でした。
ソニーの本気は数年前から始まっていたのでしょう。
一眼カメラの未来
良いものが残るのは当たり前。
デジタルカメラが出た当初もフイルム派に色々悪い所ばかり言われてきました。
それでもデジタルカメラの「たくさん撮れる」「現地で確認できる」「フィルムを買う必要がない」
様々なメリットがあったので、デジタルの登場から10年も経たずにフィルムは衰退していきました。
ミラーレス一眼と一眼レフを比べれば、昔はオートフォーカスが良くなかったり、バッテリー残量の消耗が激しかったりしましたが、今現在はほとんど差がなくなっています。
ミラーレス一眼を代表するEVF(電子ビューファインダー)は、「シャッターを押す前に仕上がりが見える」「暗い場所でも使える」「表示できる情報量が多い」と、一眼レフにはないたくさんのメリットがあります。
得にソニーのミラーレス一眼のEVFや背面液晶はソニーの得意分野なので、他社より圧倒的に綺麗です。
「ミラーレス一眼は○○だから」と言われても、今のミラーレス一眼の成長を見ると「それ数年後も同じ事言ってられるの?」と思ってしまいます。
まとめ
ソニーのミラーレス一眼は確かに強いですし、企業の努力も凄いと思います。
しかし、少し角度を変えてみればソニーのミラーレス一眼が強いのは時代の流れとして当然なのではないでしょうか。
この記事ではイメージセンサーやカメラ本体の話がメインでしたが、合併したコニカミノルタや元々パートナーだったカールツァイスのレンズの技術も一躍を担っていますし、最近ではGマスターという新ラインまで登場しました。
ソニーがミラーレス一眼で一眼レフを追いかける中、キャノンやニコンはミラーレス一眼で勝負してくるのか、一眼レフで戦い続けるのか、目が離せません。