50mmで写真は上達するか?「標準」という名の修行と、不都合な真実

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カメラを買い、キットレンズのズームにも慣れてきた頃。

「もっとボケる写真が撮りたい」「もっと上手くなりたい」と思い、ネットのレビューやカメラ好きの先輩に「2本目のレンズは何を買えばいいですか?」と尋ねる人を見かけます。

すると、こう返ってきます。

  • 「まずは50mmの単焦点レンズ」
  • 「50mmを使いこなせば、写真が上達する」

「標準」と呼ばれ、人間の視野に近い(と言われている)50mmの焦点距離。

値段も手頃で、明るいF値で背景もよくボケます。

なるほど、と納得して意気揚々と50mm単焦点を手に入れた初心者の多くは、最初の撮影でこう絶望することになります。

  • 「全然景色が入らない」
  • 「室内で使いにくい」
  • 「これのどこが『人間の視野』なんだ?」

結論から言いましょう。

「50mmを使えば上達する」というのは事実ですが、それは過去の話です。

撮影者に高い負荷と不自由を強いる、「筋トレ用の重り」なのです。

現代において、その理不尽な修行を、すべての初心者が通る必要はありません。

今回は、カメラ界隈にはびこる「50mm上達説」の正体と、その背景にある歴史的な不都合な真実を解説します。

結論:上達はする。ただし「負荷の高い筋トレ」として

「50mm単焦点を使うと上手くなる」と言われる理由を分解していくと、そこには強烈なスパルタ教育の論理が隠されています。

50mm単焦点での撮影には、「負荷」を伴うからです。

ズームレンズであれば、手元のリングを回すだけで画角(写る範囲)を調整できます。

しかし単焦点レンズは、自分が動かない限り構図は変わりません。

  • 広く写したければ後ろに下がる
  • 狭く写したければ前に出る

この「被写体との距離感を自分の体で覚える」プロセスが構図力を鍛える、というのがベテランの言い分です。

50mm修行論の「不都合な真実」

ではなぜ、これほどまでに50mmでの修行が「絶対の正義」として語り継がれているのでしょうか。

そこには教育的な理念ではなく、かつての切実な事情があります。

昔は「50mm単焦点がキットレンズだった」

フィルムカメラの時代、最初に付いてくるキットレンズはほぼ50mmの単焦点でした。

理由は単純です。

当時のズームレンズは、

  • 暗い
  • 重い
  • 画質が悪い
  • 高価

という、初心者向けではない代物だったからです。

結果として、多くの人は50mm以外の選択肢を持てなかったのです。

初期のカメラのキットレンズが50mmの理由

不自由が「美化」されただけ

ズームできない環境で、人はどうするか。

  • とにかく動く
  • 工夫する
  • 試行錯誤する

その結果、上達した。

ただそれだけの話です。

つまり、「50mmだから上達した」のではなく「50mmで練習するしかなかった」

これが50mmで修行をすると写真が上達するカラクリです。

50mmは「通過儀礼」ではない

ここまで読んでも、まだこう言う人はいます。

「いや、それでも50mmは基本だから」

なぜか。

自分がそうやって覚えたからです。

  • 苦労した
  • 乗り越えた
  • だから同じ道を勧める

これは教育ではなく、経験の再生産です。

俺が一番嫌いなヤツだな。

2本目に50mm単焦点は時代遅れ

現在は、高性能なズームレンズがキットレンズの時代です。

にも関わらず、わざわざ不自由な環境に戻る理由はありません。

「基礎を鍛えるために50mmの単焦点」

この考え方は、「電卓があるのにそろばんを強制する」「翻訳ソフトがあるのに辞書を引く」のと同じです。

スマホ時代における致命的なズレ

現代において、この話はさらにややこしくなります。

理由はシンプルで、僕たちの「標準」が変わっているからです。

スマートフォンのカメラは、フルサイズ換算でおおよそ24〜28mmの広角です。

つまり僕たちは、普段から広い画角を「普通」として見ている状態です。

そこにいきなり50mmを持ち込むとどうなるか。

  • 狭い
  • 入りきらない
  • 距離が取れない

普段の見慣れた画角とのあまりのギャップにたじろいでしまうでしょう。

ズームレンズは単焦点より『楽』で上達しない?

ここで一つ、誤解を解いておきます。

ズームレンズは「楽」だから上達しない、という話ではありません。

むしろ逆です。

ズームレンズは、

  • 被写体との距離
  • 焦点距離(画角)

この2つを同時に考える必要があります。

つまり、ズームレンズは単焦点レンズよりも選択肢が多く、写真としての負荷はむしろ大きいのです。

にも関わらずズームレンズが「楽」に感じるのは、”とりあえず”写るからです。

ズームをすると、被写体に対して背景や副題のボリュームが変わるため、足を動かすことがセットです。

  • あなたは被写体の大きさを合わせるためだけにズームを使っていませんか?
  • 画角を変えると、背景の広がり方や距離感も変わることに気づいていますか? 

50mm修行僧のフォローをするのなら、この問題点を理解するために、50mmを負荷トレーニングとして推奨しているのです。

ズームを楽だと思うのか、複数の選択肢だと思うのか。この認識の違いはかなり大きい。

買う前に、試せる

もっと単純な話をします。

50mmが気になるなら、わざわざレンズを買う必要はありません。

今使っているズームレンズを、50mmに固定して使ってみてください。

1日でもいいので、「50mm縛り」で撮ってみる。

一般的な50mm単焦点とはF値は異なりますが、これで50mm単焦点の大まかな使い心地が分かります。

  • 狭いと感じるのか
  • ちょうどいいのか
  • ストレスなのか
  • 楽しいのか

その感覚こそが、あなたにとっての答えです。

もしここで「使いにくい」と感じたなら、それは50mmが悪いのではなく、あなたに合っていないだけです。

仮想単焦点で腕を磨く

50mm修行僧の言う通り50mm単焦点は確かに上達します。

しかし現代において、そこまで高負荷なトレーニングは時代遅れです。

ズームレンズなら50mmだけでなく、24mmや35mmなど様々な焦点距離を体験することができます。

この焦点距離の意識こそが、構図を考え、写真が上達するために必要なプロセスなのです。

もし今、あなたが2本目のレンズ選びで迷っているのなら、選び方はシンプルです。

感覚やおすすめではなく、自分の撮影データを使って判断する方法があります。

ここで、曖昧さをすべて排除します。

いいから、カメラ持って外行こうぜ!

俺のデジモノ手記


01 思考の章

写真は、楽しければ良い


02 技術の章

カメラで、遊ぶ


03 表現の章

「誰か」の真似は、もう終わり


04 結実の章

今の僕の答え


付録

使用機材とカメラ設定