写真編集の初心者からよく聞かれる質問に以下のような事がありあります。
- RAWデータって何に使うの?
- どうしてRAWデータの方が編集に向いているの?
- なぜJpegじゃダメなの?
たしかにJpegでも写真編集は可能ですが、なぜわざわざRAWデータを使う必要があるのでしょう?
その答えは「RAWデータの方がデータ量が多い」という事なのですが、それは具体的にどれくらい違うのでしょうか?
例えるなら、RAWデータは”生肉”、RAW現像は”調理”、そしてJpegは”ハンバーグ”です。生肉はまだ調理されていない状態で、自由に調理して好きな料理に仕上げることができます。一方、ハンバーグはすでに完成された料理で、そのまま楽しむには便利ですが、大幅な味付け変更(編集)は難しいですよね。
焼き加減も思いのまま!
RAWデータとJpegの基本比較
RAWデータ | Jpeg | |
---|---|---|
bit数 | 14bit(カメラによる) | 8bit |
汎用性 | 専用ソフトが必要 | ほとんどのデバイスで観覧可 |
圧縮加工 | 未(大容量) | 済み(小容量) |
この表からもわかるように、RAWデータには以下のメリットとデメリットがあります。
RAWデータのメリット
- 情報量が豊富:14bitのデータ記録により、色や明るさの細かな調整が可能です。
- 編集の自由度が高い:ホワイトバランスや露出補正など、細かな編集が画質を劣化させずに行えます。
- クオリティの高い写真を作成:特定の雰囲気やトーンを再現しやすく、作品性の高い仕上がりが期待できます。
RAWデータのデメリット
- ファイルサイズが大きい:ストレージを圧迫しやすく、追加のHDD等が必要です。
- 専用ソフトが必要:一般的なデバイスではそのまま観覧できないため、RAW現像ソフトが必須です。
「無加工の写真を見せて」っていう人がいるけど、無加工の写真(RAWデータ)って簡単に見れる物ではないのよ。
RAWデータは「編集前」の生肉
RAWデータの魅力は、その圧倒的な情報量です。この情報量の豊かさが、編集時の幅広い自由度を実現しています。
bit数が写真編集に与える影響
bitとは、デジタル情報の最小単位で、1bitは「0」と「1」の2つの状態を表します。これが2bitになると「00」「01」「10」「11」の4つの状態を持つように倍々に増えていきます。
例えばJpegの8bitにおいては、RGBそれぞれ256段階で約1677万色の情報が記録可能です。
一方で14bitのRAWデータになると、RGBそれぞれ16384段階、つまり4兆を超える色の情報の記録が可能情がが記録なのです。
この膨大なデータ量のおかげで、RAWデータでは露出や色合いを細かく調整しても画質が劣化しません。
Jpegが1677万色。14bitのRAWAデータが4兆色。つまり…何倍だ?
一方で、Jpegは編集可能な範囲に限度があり、大きな変更を加えると画質が劣化しやすいです。
こうした特性から、RAWデータは「生肉」に例えられるのです。生肉は煮る・焼く・蒸すなど、自由に調理方法を選べます。同様に、RAWデータは写真の編集作業で無限の可能性を秘めています。
Jpegは「観覧・保存」に最適化されたハンバーグ
Jpegはすでに加工済みの「ハンバーグ」です。美味しく仕上がっているため、そのまま楽しむには便利ですが、大幅な味付け変更(編集)は難しいです。Jpegはファイルサイズが小さく、汎用性が高いため、観覧や保存、共有に最適です。たとえば、SNSへの投稿やメールに添付する際には、ファイルサイズの小ささと互換性の高さから非常に便利です。
また、1677万色を表現できるJpegは、RAWデータに比べると劣っているように見えますが、実用上は十分な色域を持っています。
RAW現像は「調理」の楽しみ
RAWデータを最大限に活かすには、専用のRAW現像ソフトが必要です。これらのソフトを使うことで、RAWデータの潜在能力を引き出し、自分好みの色合いや明るさに調整できます。言い換えれば、RAW現像は「調理」にあたります。
RAW現像で可能な具体的な編集例
- ホワイトバランスの調整:写真全体の色味を温かくしたり冷たくしたりできます。
- 露出や明るさの補正:暗すぎる写真を明るくしたり、逆光の写真を自然に修正できます。
- シャープネスやノイズ除去の調整:細部を際立たせたり、ざらついた部分を滑らかにできます。
- 色相や彩度の微調整:色の濃さや明るさを調整し、印象的な写真に仕上げます。
これらの機能を活用すれば、理想の一枚を仕上げることができます。例えば、夕焼けの写真で空をよりドラマチックな色合いにしたり、ポートレート写真で肌のトーンを滑らかにするなど、RAW現像を通じて写真に命を吹き込むことができます。
用途に応じた使い分けを
RAWデータは自由度の高い「生肉」であり、RAW現像はその「調理」、そしてJpegは完成された「ハンバーグ」です。例えば、RAWデータを使えば画質を維持しながら、ホワイトバランスや露出の微調整、ノイズ除去など多彩な編集が可能です。
一方で、JpegはそのまますぐにSNS投稿やメール添付に適した便利な形式です。どちらが優れているというわけではなく、それぞれの特性を理解し、用途に応じて使い分けることが重要です。
RAW現像に興味を持った方は、この記事をチェックしてください。